嫌なことを忘れる方法を探している夜に
嫌なことが頭から離れない夜は、紙やスマホのメモに、出来事とそのときの気持ちを短く書いてみてください。続けて、同じことで落ち込む友達にかける言葉と、今日ひとつでもよかったことを添え、日記を閉じます。今夜は10分を目安に、忘れるところまで頑張らず、ここで書き終えると決めてみましょう。
帰りの電車でも、家で食事をしていても、会議で言われた一言を思い返してしまう。あのとき、こう返せばよかった。そんな夜に使うための書き方です。
書いたあとも、嫌な気持ちは残っていてかまいません。厚生労働省の「今の気持ちを書いてみる」は、気持ちを書き出すと悩みから距離をとり、客観的に見られるようになると説明しています。今夜のことを整理する助けになるかもしれません。
夜に書く5つのステップ
手帳の空いた欄でも、紙1枚でも、スマホのメモでも大丈夫です。厚生労働省の同じ案内でも、手書きが面倒なら携帯やパソコンを使ってよいとしています。人に見せる文章にせず、短く書き始めましょう。
ここでの10分は、書く時間の目安です。10分で気持ちが切り替わると確かめられた手順ではありません。
1. 何があったかを2〜3文で書く
その場にいなかった人に伝えるつもりで、出来事を書きます。そのあとに、どう感じたかを添えてください。
たとえば「仕事が全部だめだった」だけなら、何があったのかを少し具体的に。
午後の会議で、古い資料の数字を伝えてしまった。その場で訂正され、それから発言できなかった。恥ずかしかった。
上手に説明する必要はありません。「あの言い方が嫌だった」までしか書けない日も、そこまでにします。ひとつの出来事をもう少し時間をとって書きたい場合は、エクスプレッシブライティングのやり方と注意点も参考にしてください。
2. 気持ちに近い言葉を探す
「嫌だった」を少しだけ細かくしてみます。悔しい、恥ずかしい、がっかりした、腹が立つ、寂しい、疲れた。2つ混ざっていてもかまいません。
感情を言葉にすることを調べた4つの実験では、不快な写真をただ見るときより、感情に関係する言葉を選ぶときのほうが、参加者の報告するつらさが低くなりました。ただし、写真を使った短い実験の結果です。日常の嫌な出来事を日記に書いても同じ結果になる、とまでは言えません。
ぴったりの言葉が浮かばなければ、気持ちを表す言葉の例から近いものを探せます。「悔しいのか、恥ずかしいのか、まだわからない」でも十分です。
3. 友達にかけるつもりで、自分に一言書く
同じ失敗をした友達から相談されたら、何と言うでしょう。言葉だけでなく、声のかけ方も思い浮かべてみてください。
カリフォルニア大学バークレー校が紹介する練習も、つらいときの友達への接し方と、自分への接し方を比べ、友達に向けるような言葉を自分にもかけてみる方法です。
間違えて恥ずかしかったね。でも、明日の朝に正しい資料を送るところから始めればいい。
「私はどうしていつも」と書き続けそうなら、自分の名前を使って呼びかける形も試せます。2014年の論文にまとめられた7つの研究(計585人)では、自分を「私」ではなく名前や一人称以外の代名詞で呼ぶことが、自分の状況から距離をとる助けになりました。これは日本語の日記で名前を使う効果を確かめた研究ではないため、書きやすい形を選んでください。不自然なら、呼びかけは省いてかまいません。
4. ひとつだけ、よかったことを書く
「昼休みに同僚と少し話せた」「帰りの電車で座れた」など、小さなことで十分です。なぜよかったかも一言添えます。
昼休みに外のベンチでおにぎりを食べた。席を離れて、ひと息つけた。
この部分は、バークレー校が紹介するThree Good Thingsを短くしたものです。元の練習では、少なくとも1週間、毎日よかったことを3つと、その理由を書きます。ここでは負担を減らすために1つを提案していますが、元の練習と同じ効果を確かめたものではありません。
よかったことがどうしても見つからない日は、この欄を空けて閉じてもかまいません。
5. 明日の用事をひとつ書いて、閉じる
まだ対応が必要なことがあれば、明日できる小さな行動をひとつだけ書きます。「明日の朝、訂正版を送る」くらい具体的に。
そのあとは手帳やメモを閉じます。今夜の記録はここまで、と区切ってみてください。読み返しや反省の続きを、今すぐする必要はありません。
書き方の例
以下は架空の記入例です。
出来事: 午後の会議で古い資料の数字を伝えてしまい、皆の前で訂正された。そのあと、ほとんど発言しなかった。
気持ち: 恥ずかしい。自分にも腹が立つ。疲れた。
自分への一言: 確認が足りなかったのは確か。でも、今日の間違いひとつで仕事の全部が決まるわけではないよ。明日、正しい数字を送ろう。
よかったこと: 昼休みに同僚と外でごはんを食べた。仕事以外の話ができた。
明日すること: 朝、訂正版の資料を送る。
すべての欄を埋めなくても大丈夫です。今日書けるところまでにします。
腹が立って、まだ書けそうにないとき
怒りが強ければ、書き始める前に少し休みましょう。物に当たればすっきりする、と決めつけるのは避けたいところです。154件の研究をまとめた分析についてのバージニア・コモンウェルス大学の解説では、物を殴ったり蹴ったりしても、怒りを弱める効果は見られなかったとしています。一方、瞑想やゆっくりしたヨガなど、体を落ち着かせる活動では怒りが低くなる結果が報告されています。
呼吸から始めるなら、厚生労働省の腹式呼吸の案内を参考にできます。椅子に座って背筋を伸ばし、おなかに手を当て、3秒数えながら口からゆっくり吐き、次に3秒数えながら鼻から吸う手順です。
落ち着いてから書くか、今日は書かずに終えるかを選んでください。
くたくたの夜は、一行だけ
5つの手順が多く感じる日は、出来事と気持ちだけ残します。
今日は__があって、__と感じた。
帰り際に仕事を頼まれて、断れなかったのが悔しかった。
何日かの気持ちを記録していきたいときは、3行で書く感情日記にも書き方の例があります。今夜は、一行で終えてかまいません。
書くより、誰かに話したい日もある
書こうとしても言葉にならない日は、信頼できる人に「今日、ちょっとつらいことがあった」と伝える選択もあります。日記だけで何とかしようとせず、人に話す時間もとってください。
つらい日が続いているときは
日記は、人に相談する代わりにはなりません。つらい日が続くときは、信頼できる人や専門家に話してください。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSの相談窓口を案内しています。いのちの電話は0570-783-556で、午前10時から午後10時まで受け付けています。通話料がかかります。詳しくは公式の相談窓口案内を確認してください。
ティーハウスで短い日記を書く
Bium Tea Houseは、こうした短い記録を習慣にしたいときの気分日記アプリです。今日の気持ちに合わせて5つの茶碗から1つを選び、話題のステッカーと一行を添えます。次に訪れたときには、メイが日記に残した短いメモ(生成AIで作成)が届いています。